本記事では、信越化学工業株式会社の2025年3月期第2四半期決算(2024年4月~9月)について、法定報告書データをもとに業績や財務状況のポイント、今後の見通しまでをわかりやすく解説します。増収ながら純利益は小幅減となった決算内容を総括します。
決算ハイライト
- 売上高:1兆2,664億円(前年同期比 +5.9%)
- 経常利益:4,429億円(前年同期比 +3.6%)
- 当期純利益:2,941億円(前年同期比 -2.4%)
- 1株当たり当期純利益(EPS):147.83円(前年同期比 -1.2%)
- 包括利益:6,650億円(前年同期比 +21.9%)
増収・増益基調の中で、純利益はやや減少。営業面では堅調さが見られます。
増減要因の分析
売上高が堅調に増加した主な要因として、生活環境基盤材料や半導体シリコンウエハなどの主要製品が引き続き需要を維持し、増産の効果が現れたことが挙げられます。特に塩化ビニル樹脂分野では数量増が寄与したほか、半導体材料もウエハ・レジストともに堅調でした。
一方で、米国外市場における価格下落が利益面に影響を及ぼし、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比で減少となりました。償却費の増加も利益を圧迫した要因とみられますが、営業利益や経常利益は増収効果でカバーされています。
セグメント別動向
信越化学工業の事業は大きく生活環境基盤材料、電子材料、機能材料、加工・商事・技術サービスの4つに分かれています。
- 生活環境基盤材料:塩ビ樹脂の需要増・増産が続き、数量面での拡大が見られました。
- 電子材料:半導体向けシリコンウエハおよびフォトレジストが好調に推移。特にAI・デジタル化の進展による半導体需要の恩恵を受けています。
- 機能材料:ケイ素樹脂などが底堅く推移。
- 加工・商事・技術サービス:全体の中での比率は小さいものの、安定した収益を維持しています。
海外売上比率は依然として高く、グローバル展開が業績を下支えしています。
財務・キャッシュ・フロー分析
- 営業活動によるキャッシュ・フロー:4,518億円(前年同期比 +18.7%)と堅調に積み上げ。
- 投資活動によるキャッシュ・フロー:-2,352億円(前年同期比大幅改善)。積極投資継続も前年に比べて流出が抑制。
- 財務活動によるキャッシュ・フロー:-2,303億円(前年同期比悪化)。配当や自己株取得など株主還元を継続。
- 自己資本比率:高水準を維持(ROE 12.8%、ROA 10.1%)。
営業キャッシュ・フローの増加と、投資キャッシュ・フローの効率化により、財務基盤は引き続き強固といえるでしょう。
今後の見通しとリスク
今後については、塩化ビニル樹脂の増産効果が通期でも寄与し、電子材料、特に半導体関連での市況回復が業績を押し上げる可能性が高いとみられます。AIや自動車分野など新たな需要領域の拡大が追い風となることが予想されます。
一方で、原材料価格やエネルギーコストの変動、海外市場における需給バランスの変化には注意が必要です。特に米国外での価格低下や償却費の増加など、利益圧迫要因が続く場合、収益の伸びが限定的となるリスクも想定されます。これらのリスクに対応しつつ、キャッシュを活用した株主還元や戦略投資のバランスが今後の焦点となるでしょう。
財務面では潤沢な現預金と高い自己資本比率を背景に、安定した経営基盤を維持。株主還元策の継続や成長投資の効果が今後も注目されます。
よくある疑問点(FAQ)
- 売上は増えているのに純利益が減少した理由は?
→ 主に米国外での価格下落や償却費の増加が影響し、利益面で伸び悩んだと考えられます。 - 営業キャッシュ・フローの増加要因は何ですか?
→ 増収に加え、主要製品の安定した販売や収益性改善がキャッシュ創出力を押し上げたとみられます。 - 今後の業績見通しにおける注目ポイントは?
→ 塩ビや半導体材料の需要動向、海外市況の価格変動、原材料コストの動きが注目されます。
まとめ
📌 ポイントはココ!
- 売上・経常利益は増加し、営業活動によるキャッシュ・フローも大きく積み上げ
- 純利益・EPSは小幅減少。価格下落や償却費負担が影響
- 自己資本比率・財務健全性は引き続き高水準
- 塩ビ・半導体材料の需要動向が今後の業績のカギに
全体として信越化学工業は、増収基調を維持しながらも利益面ではやや慎重な結果となりました。財務基盤の安定と成長投資・株主還元の両立が、今後の注目ポイントといえるでしょう。
出典:EDINET(金融庁)
企業サイト:信越化学工業
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ひーくん
かぶポストを運営している「ひーくん」と申します。投資歴は20年以上、保有株式の評価額は1.5億円を超え、不動産を含む総資産は約3億円に到達しました。投資スタイルは、高配当株と注目テーマ株を軸とした“堅実と成長”のバランス型。国内外に分散投資を行い、安定と成長の両立を目指しています。株主優待にも注目しており、現在は100以上の優待銘柄を保有。現物不動産による家賃収入も並行し、多角的なポートフォリオを構築しています。


